航空局通達等

【航空局】医薬品の相互作用について

航空局より、小型機運航者の皆様向け (第42号:令和3年2月) に情報配信がされましたので、お知らせします。
今回は、乗員政策室から航空身体検査関係のうち、「医薬品の相互作用」について、発信させていただきます。
病院で複数の治療薬が処方される場合は、その組合せも病院で確認されていますが、皆様がその治療薬に加えて、
市販薬、サプリメント、ハーブなどを使用する場合、予期せぬ相互作用を持っていることをご存じですか?
たとえば、市販の抗ヒスタミン薬(例:総合感冒薬やアレルギー治療薬等)と高血圧の治療薬を一緒に飲んだら
どうなるか、グレープフルーツと高血圧の治療薬は?

今回は、FAA(アメリカ連邦航空局)が、2020年10月にホームページに「Avoiding Adverse Drug Interactions」
を掲載しておりますので、その内容を一部紹介いたします。

(以下は記事を抜粋)
FAA’s CAMI Toxicology Lab によると2011年に実施した調査で、米国のgeneral aviationの死亡事故1353件
のうち、薬物が検出されたのは570件 (42%)です。

薬物はパイロットの操縦能力を低下させたり、判断力や意思決定に悪影響を及ぼす可能性があることは周知の事実
ですが、薬物が事故に及ぼす影響を定量化するのは困難です。
また、パイロットが指定医に自分の病状をすべて申告しなかった場合、未申告の疾患およびその治療薬が他の疾患
の治療薬に影響を引き起こす可能性があるため、指定医に全ての使用薬を開示することが重要です。
いくつかの治療薬は、市販薬、サプリメント、ハーブなど、他の薬との予期せぬ相互作用を持っており、例えば、
抗ヒスタミン薬は高血圧の治療薬と同時に服用することで有害な反応(補足:カルシウム拮抗薬は血圧を上げてし
まうなどの)を起こすことがあり、航空環境ではさらに悪化する可能性もあります。また、特定の食品には、薬の
濃度を増減させてしまうものがあります。たとえば、グレープフルーツやグレープフルーツジュースなどは一部の
薬(補足:降圧剤など)が体内にとどまる時間に影響を与え、危険な副作用(補足:降圧剤が効きすぎて低血圧に
なるなど)を引き起こす可能性があります。

最も一般的に副作用を引き起こす可能性のある薬として、抗ヒスタミン薬があります。実際、NTSB(補足:米国航
空事故調査機関)の調査によれば、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬は、死亡事故で最も多く検出されています。
有効成分である「ジフェンヒドラミン」は、しばしば市販薬に鎮静剤として含まれています。あなたがアレルギー
に苦しむ場合は、ジフェンヒドラミンの代わりにロラタジン等、鎮静作用のない第2世代の抗ヒスタミン薬を使用
することができます。

このほかにも危険な副作用を引き起こすおそれのあるものとして、一部の止瀉薬(オピオイドを含む)、降圧薬
などがあります。これらの薬剤については、航空業務で使用できるものがありますので、主治医と指定医の両方
に相談することをお勧めします。特に指定医は、航空環境においてどのような薬が許容されるかについて詳しく
知っているでしょう。

もし、副作用を引き起こす可能性のある薬(補足:航空業務で使用不可の薬)を服用しなければならない場合
どのくらいの期間をおいてからフライトを再開すればよいのでしょうか?薬によってそれぞれ違いますが、目安
としては、薬の半減期の5倍、または投与間隔(半減期の情報がない場合)で計算します。ある薬が1日4回服用
の場合、服用間隔は6時間となります。したがって、最後に服用してから乗務可能となるまでの待ち時間は30時
間(6時間×5=30時間)となります。他の薬では服用間隔が長くなったり短くなったりする場合がありますので、
指定医に相談することが重要です。(補足:日本ではBグループの市販薬は、投与間隔の2倍の時間まで航空業務
に従事してはならないとしています。)
(以上、記事から抜粋)

 いかがでしたでしょうか、米国のみならず、我が国においても、航空身体検査を適正に実施するためには、
申請者の既往歴、手術歴、医薬品の使用歴、自覚症状等についての正しい申告が極めて重要です。引き続き、
自己申告確認書等により、申告漏れの無いようにお願いします。また、市販薬の一部(第3類)以外はすべて、
指定医による副作用の確認が必要ととりますので、こちらも併せてお願いします。
詳細は航空局のホームページで確認ください。
https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000743.html

(FAAの当該記事)
https://medium.com/faa/avoiding-adverse-drug-interactions-2914029f3e37

(参考)
・What OTC Medications Can I Take and Still Be Safe To Fly?
https://www.faa.gov/licenses_certificates/medical_certification/medications/
・AME Guide — Pharmaceuticals
https://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_offices/avs/offices/aam/ame/guide/pharm/
・AME Guide — Do Not Issue — Do Not Fly
https://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_offices/avs/offices/aam/ame/guide/pharm/dni_dnf/nf/
 
<本件に関する問い合わせ先>
連絡先:国土交通省 航空局 安全部 運航安全課 乗員政策室
TEL:03-5253-8111(内線50302)
Email :hqt-kogataki@mlit.go.jp

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